競った場面で負けない
大阪世界陸上を前に四百米障害のあの為末大選手がメッセージを募集している。
http://tamesue.cocolog-nifty.com/aquarius/
今完成を目指している陸上競技を題材にした小説の中のエピソードの一つに、この記事タイトルのような私自身の経験がある。
私は為末選手のような”走る”種目ではなく、三段跳びという、跳ぶという種目だった。
この場合”競る”といっても実際に抜きつ抜かれつが同時にあるわけではなく、自分の試技の前後で順位が入れ替わるというやつだ。
競って走っている時に、抜かせない、抜き返すというのとは違い、跳んだ距離の結果が数cmの差しかないっていうやつだから、頑張ってなんとかなるというものとはちょっと違う。
計測の結果、「ああぁっ、後数センチ足りずに抜けなかったのかぁ」みたいな、非常に後味の悪い競り方。
でも良く考えればいっしょですね。
最後のハードルを先に越えたのに、ゴール直前で抜かれ、抜き返せなかった悔しさ。
追い込みながら、後数メートルゴールが先にあったら抜けたのにっていう悔しさ。
これこそまさに
”限界の、その先へ。進む力”
ですね。
以下、今書いている小説の抜粋です。
*
「最初の集中力はすごいと思うよ。一回目まず確実に跳んでくるもんね」
「ファールすることはまずないって自信はあるかな。歩幅は安定していると思っているから、助走練習でスタート位置を調整したらまずファールしない。時々ショートすることはあってもね」
「でも愛明は逆転されると弱いんだよね。シーソーゲームってあまり見たこと無い」
「祐子はどんなときも冷静だよな。由美に聞いたことがあるよ。祐子はマッチポイント取られても逆転することができると信じていたって。実際よくマッチポイントをひっくり返してたらしいじゃない。」
「どんなときでも冷静さを失わないように訓練したから」
「どうすればできるわけ?それにブロックを逆に利用していたとも聞いたよ。姉貴はできなかったんだって。直球勝負だから、ブロックに向かっていっちゃうんだよね。祐子はブロックアウトを狙ってたんだって?」
「泰子さんはブロックされるとむきになるからって由美が言ってた。私はブロックアウトになるように相手の指先に当てたりしたの。でも身長差はどうしようもなかった。壁相手には叩き落とされるしかなかった。
でも競った試合は別。勝つチャンスがある以上あきらめられなかった。バレーは負けたらそれで終わりだから。愛明は勝負に貪欲さがないよ。
このあいだも二cm差だよ。逆転された後。
あれもね、一回目に跳んだ後パスして相手にプレッシャかけることもできるんだよ。
越えらるもんなら越えてみろって余裕をみせると、意外に硬くなって実力が出せなかったり。愛明二回目以降も跳んだりするから」
*
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